生活習慣病の多くは肥満と関係しています。肥満=皮下脂肪と考えると、皮下脂肪を悪玉と考えがちです。実は内臓脂肪(消化管の間の脂肪組織)が生活習慣病と関係しています。

【皮下脂肪と内臓脂肪】
 お腹の皮膚の下にあって、摘むことができるのが皮下脂肪。一方、腹部の内臓の周りにあるのが内臓脂肪です。腹腔内に脂肪が過剰に分布しているのが「内臓脂肪型肥満(リンゴ型肥満)」、お尻や太股に脂肪がついて太くなるのが「皮下脂肪型肥満(洋ナシ型肥満)」です。皮下脂肪は皮膚のすぐ下にある脂肪のことで、内臓脂肪は内臓の周囲につく脂肪のことです。男性ホルモンは筋肉を増加させると共に、その熱源の内臓脂肪を増加させる作用があります。男性は内臓脂肪がつきやすく太っ腹になりやすいのです。一方、女性ホルモンは内臓脂肪よりも皮下脂肪を蓄える傾向があります。同じ体脂肪率ならば、男性のほうが内臓脂肪は多いことになります。

【一度増えた脂肪細胞は、減らない!】
 太る理由のひとつに、この脂肪細胞の増加が挙げられます。脂肪細胞が増えるのは、妊娠末期の3カ月(胎児期)・ミルクで育つ乳児期・思春期に集中することが明らかになっています。この時期に太ってしまった人には、「脂肪細胞増殖型肥満」が多いと言えるでしょう。なお一度増えてしまった脂肪細胞は、減ることがありません。したがってこのタイプの肥満は、脂肪を落とすことがとても難しいのです。
 「脂肪細胞が大きくなる」とは、中に蓄積されている中性脂肪が増えるということです。たくさんの中性脂肪を抱え込んだ脂肪細胞は、まるで風船のように膨らみます。これは「脂肪細胞肥大型肥満」と呼ばれ、妊娠、出産、中年になってから太る人に多く見られます。脂肪は、脂肪細胞の中の“脂肪球”といわれる油滴の中に蓄えられています。このタイプの人が脂肪を落とすことはそれほど難しくはありません。食生活の見直しや適度な運動で中性脂肪が燃焼し、脂肪細胞の中の脂肪球に蓄えられている脂肪の量を減らし、脂肪細胞を元の大きさに戻すことができます。

【褐色脂肪細胞と白色脂肪細胞】
 人間の体内に存在する脂肪細胞には、白色脂肪細胞と褐色脂肪細胞の2種類があります。白色脂肪細胞は全身のあらゆるところにあり、とくに下腹部、お尻、太もも、背中、腕の上部、内臓の回りなどに多く存在しています。体重がそれほど多くなくても、下腹部やお尻、太ももなどの太さが気になる人が多いのは、これらの部分に白色脂肪細胞が多いためです。体内に入った余分なカロリーを中性脂肪の形で蓄積する働きがあります。
 一方、褐色脂肪細胞の分布場所は、首の周り、脇の下、肩甲骨の周り、心臓、腎臓の周りの5カ所で、体内に蓄積された余分なカロリーを熱に替え、放出させる働きのあるありがたい細胞です。褐色脂肪細胞は、成長期に入ると少しずつ減り、生まれたばかりの時に約100gあったものが、成人になると40g程度に減ってしまいます。褐色脂肪細胞の働きが活発な人はエネルギーをたくさん消費し、活発でない人は、エネルギーの消費も少なめということになりますが、この褐色脂肪細胞の働きは、遺伝子によって操作されます。

◆金沢市医師会より

 褐色脂肪細胞に関わる遺伝子に変異を持って生まれてくる人がいます。日本人の3分の1はこの遺伝子に変異をもっているといわれ、このような人たちは、そうでない人に比べ基礎代謝量が平均約200kcalも低く、太りやすい体質ということになります。しかし、努力次第で褐色脂肪細胞を活性化することもできます。それは、寒さや冷たさなどの寒冷刺激を与えることです。一番いい方法は、低温の水(18度以下)で泳ぐことです。また、夜と昼の区別をしっかりつけて、昼間はしっかり活動し(身体をよく動かすとベター)、夜はリラックスして早めに床につき、十分に眠ること。このようなメリハリのある生活のリズムをつけると褐色脂肪細胞の働きがよくなります。同じものを食べても、太りやすい人とそうでない人がいるのは、肥満にかかわる様々な遺伝子の影響であることが最近の研究でわかってきました。しかし、遺伝子のせいだと諦めず、太らないような生活を心がけることが大事です。

<参考ホームページ>
TANITAベストウエイトライフ
http://www.tanita.co.jp/bwl/naizoushibou.html

生活習慣病の原因は皮下脂肪ではありません 内臓脂肪を断て!AllAbout
http://allabout.co.jp/health/familymedicine/closeup/CU20030107M/index.htm