会長就任のご挨拶
yasuda
会長 安田 健二

 平成27年7月に金沢市医師会会長を拝命した安田健二と申します。よろしくお願い申し上げます。

 金沢市医師会は金沢市民の健康・福祉の向上を第一の目的としてさまざまな事業を展開してきました。しかし、今は時代の要請で国の推し進める医療政策と関わる事業も遂行していく必要性に迫られております。我々は「医療政策からの視点」と「地元金沢に密着した視点」の二つの観点からみた仕事を新執行部に与えられた課題と考えております。



                    1.医療政策の中での課題

 1)まず昨年制定された地域医療介護総合確保推進法の中で医療提供体制の再編として、病院の機能報告、地域医療構想が策定されました。病院機能を「高度急性期」「急性期」「回復期」「慢性期」に分類し、医療費水準を下げると同時に医療資源を集中投入し入院機能の強化を図ります。マスコミでは石川県での病床削減数は4,000床という数字が独り歩きしています。県医師会が中心となって現場を熟知している郡市医師会や病院協会と意見をすり合わせ、地域の実情に合った地域医療構想を医療審議会の中で慎重に議論を重ねなければいけません。

 2)一方、地域医療構想で再編された病院群で医療を受け、住み慣れた地域に戻った高齢者が可能なかぎり、自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう、地域の包括的な支援・サービス提供体制(地域包括ケアシステム)の構築を進めなければなりません。これは市町村の仕事です。金沢市の現在の医療・介護の提供体制は「医療資源は多いが、在宅医療での介護力は低く、施設系への依存が多いこと」が特徴です。洗い出せば問題点は多岐にわたります。どこまで医師会が関与するかを十分に検討する必要がありますが、行政と議論しながら地域の高齢者の方々が安心して暮らせるように金沢に応じた金沢らしいシステムを構築しなければなりません。

病院機能再編と地域包括ケアシステムは2025年の医療・介護の提供体制の車の両輪です。

 3)そして地域包括ケアシステムに必須な事業として認知症高齢者対策があります。2010年時点で65歳以上の認知症有病率は15%と推計されております。厚労省はその対策として「認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて」新オレンジプランを策定しました。また、「がん対策推進協議会」は「今後のがん対策の方向性」と題する報告書の中で、地域包括ケアシステム整備には認知症高齢者対策が必要不可欠であるとしています。金沢市の「もの忘れ健診」は全国的にも優秀な認知症健診でありますが、さらに健診の受診率を上げ、対象年齢拡大や精検受診率の向上により多くの認知症予備軍を拾い上げ、指導による介入に繋げなければなりません。少しでも認知症発症を遅らせることではじめて「もの忘れ健診」が完結します。

 4)上記の施策遂行には医療等分野におけるICT化推進が重要です。「いしかわ診療情報共有ネットワーク」を病病・病診の連携、「ハートネットホスピタル」を在宅や介護の連携ツールとして、それぞれより実務的に使えるよう充実させ普及を図る必要があります。そして発展的には地域連携クリティカルパス(糖尿病パスなど)のツールとして「ハートネットホスピタル」を活用していくことを検討する必要があります。もちろん、情報管理を強化し不測の事態に備えなくてはいけません。

 5)また日本再興戦略改訂2014では高齢化社会に必要不可欠な施策が提言されていますが、そのなかで「健康寿命の延伸」が謳われております。金沢市の「すこやか検診」は疾病の予防・早期発見を目的としていますが、これからは「健康で長生き」を目標として、「すこやか検診」の対象年齢(概ね75歳まで)を拡大する必要があります。

                     2.金沢市における課題

1)地元の石川県に目を移しますと「まち・ひと・しごと創生総合戦略」の一環で、金沢、白山、かほく、野々市、津幡、内灘の6市町が連携し、総務省の「連携中枢都市圏」に選ばれました。これは都市への流出を防ぎ、地域を活性化するための施策であります。中心市と近隣市町が圏域の経済成長、都市機能の集積、生活関連サービスの向上などに連携して取り組むためには見えないインフラとして、教育と医療が充実していなければなりません。6市町の各医師会と議論しながら、石川中央医療圏の医療の問題を検証し、夜間小児救急など施策として反映させていくことが求められます。

 2)最後にお膝元の金沢市です。各論に分け入りますと総花的になりますので、重点課題のみを述べさせていただきます。
@金沢総合健康センターを時代に合うよう編成し直す必要があります。行政と密接に連携を取りながら討議を重ねながら慎重に進めなければなりません。夜間急病診療所、学校保健などそれぞれのブランチの在り方を再考し、新しくは「在宅医療・介護連携支援センター」の設置を検討したいと思っております。
Aそして11月15日には第1回金沢マラソンがあります。金沢マラソンが成功裡に終えるよう金沢市医師会は黒子となって医療・救護の面から全力を挙げてサポートする所存であります。

 今は医療の原風景が変わっていく節目です。時代の要請のもとに大きな潮目が見えております。金沢市医師会として我々のあるべき医療や医師会活動の原点を見失わないよう、役員一丸となって粉骨砕身、使命を全うする所存であります。