糖尿病教室


「動脈硬化」という言葉を聞いたことがあると思います。漢字から「動脈が硬くなる」といった程度のことはわかりますよね?
詳細についてはご存知ですか?
今日は「動脈硬化」について詳しくお話していきます。

動脈硬化とは

「動脈が硬くなって弾力性が無くなり、血管の内径が狭くなること」

を言います。
言葉で言っても分かりにくいですね。
図で説明すると下のような感じです。

正常な血管ではきれいな3層構造の壁が見られます → これが・・・ → 血管壁が変質し、厚くなったりもろくなったりすることで、血管を細くしたり詰まらせたり破れたりします。 

ではどうして動脈硬化が起こるのでしょう?

=動脈硬化の原因=

動脈硬化を引き起こす原因としては次のようなものが挙げられます。

糖尿病の患者さんでは「高血圧」や「高脂血症」「肥満」を一緒に持っている方も多いでしょう。
動脈硬化になる原因を2つも3つも持っていては、動脈硬化になるな、と言う方が難しいですね。

動脈硬化のタイプ

一言で動脈硬化と言っても、血管の状態によっていくつかのタイプに分けられています。

アテローム(粥状)硬化
⇒心筋梗塞・脳梗塞など
動脈の内膜にコレステロールなどの脂質からなるどろどろの粥状物質(アテローム)がたまり、次第に血管の内腔を狭くする。
3層のうち、内膜が変質、脆く厚くなります
細動脈硬化
⇒脳出血、腎硬化症など
動脈の壁がもろくなり、破れやすくなる。脳や腎臓、眼底にある細い動脈に起こりやすい。
細かい血管に起こり、3層全体が脆くなって破れやすくなります
中膜硬化
⇒下肢動脈疾患
動脈の中膜が石灰化し壊れやすくなる。血管壁が破れることもある。
3層のうち、中膜が硬く脆くなってきます

“危険度”は倍の倍!!

糖尿病や高血圧が心臓病や脳血管障害の発症に及ぼす“危険性”は、健康な人と比較して数倍にもなります。

正常な人を1倍とした場合、糖尿病や高血圧を持つ人で3〜4倍、両方を併せて持っている人で7倍程になります

動脈硬化がわかる!?

血管は皮膚の下にありますので直接目で見ることはできません。
動脈硬化かどうかを調べるにはどうしたらいいのでしょう?

間接的ではありますが、動脈硬化を反映するという検査が、最近出てきました。
それがPWV/ABIという検査です。
両腕と両足首の血圧と伝わり方を調べることで、血管の硬さや詰まりを調べることができます。

PWV(Pulse Wave Velocity)
動脈壁の“硬さ” の検査(脈波伝播速度)
ABI(Ankle Brachial Index)
動脈の“詰まり” の検査(足関節/上腕血圧比)

血管が柔らかい場合、心臓がギュッっと押し出した血液は血管を広げながら進みます。血管壁が波打って行くような進み方ですね。
ですから「ギュッ」の山が腕から足首まで届くのに少し差が出てきます。
ところが血管が硬くなると圧力がかかっても広がれません。
心臓がギュッとなった圧力は腕から足首へほとんど差のない状態で届きます。
「脈波伝播速度」が速いわけです。
上が正常血管のイメージ、下が硬化した血管のイメージです

また足へ行く血管が詰まっていたら、足には十分な血液が行きません。
つまり足で測った血圧は低くなってしまいます。
そこで腕の血圧と足首の血圧を比較してみることで「血管の詰まり」を調べることができるのです。

動脈硬化は良くなる!?

検査をして動脈硬化があるとわかったら、どうしたらいいのでしょう?
動脈硬化を悪化させないにはいくつかの注意点があります。

早期発見
羅病期間が長いほど進行します
食習慣の改善
塩分、コレステロールの多い食品の摂りすぎに注意
運動習慣の改善
生活の中に運動を取り入れましょう
血糖、血圧、脂質をコントロールする
血圧のコントロール目安は、糖尿病のない人:140mmHg未満 / 90mmHg未満
糖尿病の人:130mmHg未満 / 85mmHg未満
脂質のコントロール目安は、総コレステロール:200mg/dl以下
HDLコレステロール:40mg/dl以上
中性脂肪(TG):150mg/dl以下

以上の点に注意して改善して行けば、動脈硬化は悪化しません。
ごく初期であれば、血管を軟らかい状態に戻すことができるともいいます。
しかし、ごく初期の動脈硬化は、検査してもまだわからないこともあります。
ですから、動脈硬化になる前から、注意することが大切になります。

またこれらの注意点は、動脈硬化についてだけでなく、「生活習慣の改善」でもありますから、糖尿病にも良いことになります。
「生活習慣病」のごく早期から注意していれば、動脈硬化を防ぐことも可能なのです。

まだ動脈硬化といわれていない人は、動脈硬化にならないように、
血管がちょっと硬いかも?という人は、少しでも状態を良くするために、気をつけましょうね。

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2008-11-01公開


もりやま越野病院
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