糖尿病教室


骨のお話

骨は固くて軽くて丈夫です。
カルシウムとリンというセメントがコラーゲンという鉄骨にくっついて出来ている鉄筋コンクリートみたいなものです。

骨は、一度出来上がったらそのままと思われるかもしれませんが、実はそうではありません。
毎日毎日、体のどこかの骨は新しくなっています。3ヶ月から1年周期で全身の骨が入れ替わる計算です。

破骨細胞がやってきて骨を溶かし、そこに骨芽細胞が集まってきて新しい骨を作ります骨が新しくなるには2つの細胞が必要です。
ひとつは破骨細胞、もうひとつは骨芽細胞です。
破骨細胞は古い骨を溶かしていきます。そうして空いた空間に骨芽細胞がやってきて、新しい骨を作ります。
溶かすといっても、顕微鏡やもっと小さい細胞レベルのお話なので、どこかの骨が溶けて無くなるようなことはありません。

骨は体を支える柱である一方、カルシウムを貯蔵しておく倉庫でもあります。(これは生物が昔、海にいた時の名残と言われています)

細胞が働く為にカルシウムは大事な役割をしています。
カルシウムイオンが細胞に出入りすることで、筋肉が伸び縮みし、神経を信号が伝わります。
血液中のカルシウムが少なくなると、骨を溶かしてでもカルシウムを補うくらいに、カルシウムは大事なものです。

ですから、骨を作る骨代謝のサイクルがおかしくなったり、血液中のカルシウムが少なくなったりすると、骨はうまく作られずに脆くなります。

毎日牛乳飲んでいるから、大丈夫?

骨を強くするために「牛乳」を飲みましょう!と良く言われます。
確かにカルシウムをたくさん摂る必要がありますので、牛乳などのカルシウムを多く含む食品を摂るのは大切なことです。

しかし、カルシウムだけ摂っていればいいというものではありません。

カルシウムは、吸収されるときに「活性型ビタミンD」という助けが必要です。これがないと、折角たくさん牛乳を飲んでもカルシウムは思ったほど体に入ってこないことになります。

ビタミンDを多く含む食品としては、魚(イワシ、タラ、じゃこ、サケ、サンマ、マグロなど)やきのこ類が挙げられます。
カルシウムに加えて、これらのものも一緒に食べるように心がけてください。

宇宙飛行士は骨が脆い・・・?

宇宙に出ると、重力がないので体が浮いていますよね?すると筋肉や骨は地上にいるときほど仕事をしなくてよくなります。

一見、良いことのようにみえるかもしれませんが、骨や筋肉は、甘やかすとすぐに萎えていってしまいます。
重力という刺激、運動という刺激がないと、骨からカルシウムがどんどん出て行ってしまい、骨は弱くなってしまいます。
これは寝たきりになったときと似ています。

ですから、宇宙飛行士達には宇宙空間でも運動することが決められています。
よくルームランナーのようなもので走っているのを見たことがありませんか?あれは少しでも骨や筋肉が弱るのを防ごうとしているのです。

糖尿病の人は骨折の危険性が高い

さて、今までが一般的なお話ですが、これは糖尿病教室なので、糖尿病の方でのお話をしましょう。
糖尿病の人は骨折しやすく、その頻度は糖尿病でない人の2〜4倍といわれています。

糖代謝の異常である糖尿病が、どうして骨に影響を及ぼすのでしょうか?

糖は体のいろんな細胞にとってのエネルギー源です。そしてそれをうまく細胞に取り込むのがインスリンの仕事でしたね?
糖尿病ではインスリンがうまく働いてくれないために、骨を作る細胞である骨芽細胞も弱っていってしまうのです。

そうなると骨は新しく生まれ変わることができません。
骨を作るスピードが落ちたり、以前と同じような丈夫な骨が作れなくなったりするようになります。

インスリン作用不足の骨代謝への影響
骨芽細胞の減少
骨芽細胞に糖が摂りこめず、細胞が弱って減少してしまいます。
尿中カルシウムやマグネシウムが増加
血中の糖分を尿として捨てようと尿量が増えます。そうすると尿に含まれるカルシウムやマグネシウムまで余分に捨てられてしまい、結果として血液の中のカルシウムが減ってしまいます。
活性型ビタミンDの不足
ビタミンDを活性化させることができずに、カルシウムの小腸での吸収が低下してしまいます。
正常なコラーゲンの減少
骨の鉄骨にあたるコラーゲンに余分な糖がついて変質してしまいます。

そうなってくると、今までは何ともなかったようなちょっとした事でも、骨折しやすくなってしまうのです。

骨を丈夫に保つには

骨の材料をたくさん摂って、破骨細胞や骨芽細胞の働きを良くしてあげるのが大事です。

  1. カルシウムやビタミンをたっぷり摂る
  2. 適度な運動(お年寄りでは立って歩くことができるだけでも違います)
  3. 定期的に骨の状態を検査する

これらのことが、骨を丈夫に保つためには重要です。

骨って見えないよね・・・?

「3」番の骨の状態を検査する、ですが、骨は体の中にあるので、直接見ることは出来ません。
ですからレントゲンで骨を撮影して見ます。(当院では手の指で骨の密度を見ています)
他にも、骨芽細胞や破骨細胞が活動したときに出てくる物質(オステオカルシンやデオキシピリジノリン<DPD>、T型コラーゲン架橋N−テロペプチド<NTx>)を調べることで骨の状態を見ます。これは血液にも尿中にも出てきますので、尿から調べることもできます。

骨折しないようにしましょう。

普段から、骨を丈夫にするよう心がけるのも大事ですが、骨折しないようにすることも大事です。
骨折して寝たきりになると、筋肉や骨が衰えてますます骨折しやすくなります。

まずは転ばないように!
特に今の季節は雪のせいで転びやすいですから、注意が必要ですね。

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2008-11-01公開


もりやま越野病院
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