糖尿病教室


今回は運動療法2です。前回と重なる点もありますが、復習も兼ねて読んでください。

糖尿病での運動療法

第9回で運動の効果についてお話しました。覚えてますか?
特に糖尿病では

  1. エネルギー消費による高血糖の是正
  2. インスリン感受性が改善し糖代謝も改善される
  3. 脂質代謝が改善される
  4. 高血圧が改善される
  5. 心肺機能が改善し、体力が増す
  6. ストレスが解消され、規則正しい生活が続けられる

のような効果があります。

運動の内容としては、前回「有酸素運動をしましょう!」というお話をしました。
運動強度(どのくらいの運動か)としては、中等度以下の有酸素運動10分以上(できれば20分以上)と言われます。だいたいどの程度かというと・・・

となります。
歩いたり走ったり、自転車を漕いだり泳いだりといった運動ができればいいのですが、「時間が取れない」とか「続かない」といったこともあると思います。
そういう時は日常の生活のちょっとした運動でも構いません。

例えば、体重60kgの人の場合。下の表のような運動でだいたい80kcalになります。

運動内容 継続時間
散歩、電車やバスで立っている、炊事
掃除洗濯、一般事務、買い物草むしり
続けて30分
歩行(70m/分)、入浴階段下り
雑巾がけ、ラジオ体操、自転車(平地)
続けて20分
軽いジョギング、階段上る、自転車(坂道)
ノルディックスキー、スケート、バレーボール、登山
続けて10分
マラソン、縄跳び、水泳(平泳ぎ)
バスケットボール、ラグビー(前衛)、剣道剣道
続けて5分

とは言っても雑巾がけを20分も続けたり、階段を10分も上り続けたりはできないですよね。

脂肪の燃焼という点では継続した運動が望ましいですが、糖尿病の運動療法では1日全体の運動量を増やすことも重要です。
筋肉や細胞への刺激を増やすことで、特に2型糖尿病では細胞でのインスリン感受性が良くなります。インスリンが少量で効くようになるのです。

というわけで、まとまった運動の時間が取れない場合はエレベーターをやめて階段にするとか、いつも車のところを自転車にするとか、ちょっとした時に体を使うようにしましょう。

運動時の注意

糖尿病の場合、運動(水泳、ランニング、ウォーキングなど)をするときに注意して欲しい点がいくつかあります。

体調の悪いときは、無理をしない。
睡眠不足のときや、疲れが溜まっているとき、風邪などの病気のとき、また二日酔いの時は、運動を避けてください。
合併症がある人はまず医師に相談してから。
糖尿病性網膜症や糖尿病性腎症が発症している場合、運動によって逆に症状が悪化することがあります。合併症があるとわかっている場合は医師に相談してからにしましょう。
また合併症の有無がわからないときは、まず病院で検査をしてもらってください。
足に怪我などがないこと
運動をすると怪我がひどくなることがあります。小さなものであっても必ず診察を受けて、治してから運動を始めてください。

他にも運動によって低血糖が起こったり、血糖のコントロールが良くない状態では、逆に高血糖が起こったりすることがあります。また無理をして筋肉や関節を傷めてしまうこともあります。

ですから、絶対に無理はしないこと!

体を壊してしまっては元も子もありませんからね。

準備万端整えて!

さて、いざ運動というとき。
お腹がすいていたりしませんか?逆に食べたばかりでお腹がいっぱいだったりしませんか?

運動をすれば血糖は下がります。「いいことじゃないか」と思われるかもしれませんが、下がりすぎれば低血糖発作を起こしてしまいます。

運動に適しているのは、もっとも血糖の上昇する食後1〜3時間
特にインスリンを使用している場合や経口血糖降下剤を飲んでいる場合は、低血糖を防ぐために必ず食後に運動するようにして下さい。

もし食後、結構時間が空いてしまっていて低血糖が心配なときは、捕食を取るようにして下さい。
捕食は食事療法で指示される総エネルギーとして含めない、臨時のエネルギー摂取です。

運動する時の捕食は、すぐにエネルギーになる炭水化物の多いもの(60%程度)がいいです。
量としては1単位ほど。これで運動中、運動後の低血糖は防げます。

運動の内容が激しいとか、1時間以上続ける場合は、運動の15〜30分前に捕食を摂るようにして下さい。

また運動するときは運動しやすい服を着ることも大切です。
寒ければ保温性のあるもの、熱ければ汗をかきますから吸湿性の高いものを選びます。
運動していればだんだん熱くなりますから、枚数などで調節できるようにすることも大切です。
着がえも忘れてはいけません。汗が冷えて風邪を引いた、なんてことになったら何の為に運動しているのかわかりませんしね。

あとは靴。
フットケアの回でもお話しましたが、足に合った靴を履いていることが重要です。靴ずれを起こすような靴や小さすぎたり大きすぎたりする靴は怪我の元になります。

などの点に注意して、自分の足にあった靴を履きましょう。

さて運動です

怪我をしないためにも、運動をする時には十分に体をほぐしてから始めましょう!

  1. まずウォーミングアップ(準備体操)で体をほぐし、十分に温めます。
  2. それから本格的に有酸素運動を始めます。できれば15分以上続けてください。
  3. 余裕があれば筋力トレーニングもしてみましょう。
  4. 最後にクーリングダウン(整理体操)で使った筋肉をほぐしましょう。

特に準備体操、整理体操は忘れないようにして下さい。

他にも忘れてはいけないのが水分補給
水も取らないで運動すると脱水になり、血液の粘度があがってしまってよくありません。適切な水分補給は大事なことなんです。
さすがに甘いジュースで、というのは感心しませんが、水やお茶、他にも今はいろんなスポーツ飲料が出ていますから、運動の合間合間に補給するようにしましょう。(だからってガバガバ飲んじゃダメですよ)

具体的な数字で言うと8%以下の糖分を含むものがお勧めです。

清涼飲料水の糖分含有量の比較(参考)
商品名 内容量(ml) 糖分量(g) %表示
アクエリアス・ネオ 350 19.6 5.6
ポカリスエット 340 21.1 6.2
SUNTORY デカビタC 210 12.4 5.9
C1000 タケダ ビタミンドリンク 350 1.7

上の数字はあくまでも参考値ですが、スポーツ飲料と言われるものは大体8%以下のようです。最近は糖分量が表示されていますから、事前にチェックしておきましょう。

ウォーキング

さて実際の運動の例として、取っ掛かりやすいと思われる「ウォーキング」を紹介しましょう。

ただ普通に歩くのとはちょっと違います。最近ではテレビとかでも取り上げられていますからぼんやりとしたイメージはあると思いますが要点をまとめると以下のようになります。

肘は90度くらいに曲げ、大きく振りましょう。5分位続けたときに「ちょっときつくなってきたかな?」となるくらいの速さが理想的です。

いきなり長距離を歩くのではなく、少しずつ延ばしていってください。
最初はご近所を5分位歩くところからどうですか?歩くのに集中するのもいいですが、周りの景色なんかを見ながら歩くと、意外と普段見てないものに気づいたりしますよ?
それから少しずつ「今日は一つ向こうの辻まで」「今日はちょっと違う道で」という風に変えていくと飽きなかったりします。

どんな運動をしようかな・・・?

運動には色々あります。外での運動、室内での運動、有酸素運動、筋力トレーニング、などなど。
外での運動は、雨が降るとできません。それにいつもおんなじ運動では飽きてきます。
ですから、何種類かの運動を組み合わせるのもいいですよ。

でも運動の内容によっては、インスリンの量を変える必要があったりします。でも自分で勝手に変えるのは危険ですよね。運動の内容を医師に相談して、インスリン量を変える必要があるのか、変えるとしたらどのくらいか、確認してみましょう。

他にも、血糖コントロールの状態、足の状態、体重や年齢によって運動の内容は違ってきます。自分はどのくらいの運動ができるのか、分からないときは病院で相談してみてください
そして運動していて体の調子がおかしいときも、無理をしないで中止し、医師に相談してください。

自分の体をケアするのはあくまでも自分です。

まず自分と相談しながら、無理のない運動を、ちょっとずつでも継続してやってみましょう。

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2008-11-01公開


もりやま越野病院
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