糖尿病教室


以前にも簡単に触れましたが、糖尿病の慢性合併症の一つ、糖尿病性腎症について今回は詳しくお話してみたいと思います。

腎臓って・・・?

さて、腎臓のある場所をご存知ですか?「大体このあたり」と触ってみてください。

腎臓と膀胱の位置関係図腎臓は、腰に手を当てた時よりやや背中寄り、左右に1個ずつある、握りこぶし大のそら豆形の臓器です。 良く知られている働きとしては「尿を作る」だと思いますが、他にもいろんな働きをしています。

尿を作ることにしても、ただ要らない物を捨てているだけではなく、必要なものを再吸収してコントロールしています。ですから、腎臓が病気になると全身にいろんな症状が現れます。

糖尿病性腎症

糖尿病の慢性疾患で触れましたが、簡単に言えば腎臓の血管が詰まってしまい、おしっこが作れなくなってしまうのが糖尿病性腎症です。

腎臓は、とても細かい血管でできた小さい網(糸球体と言います)がたくさん集まって血液をろ過しています(片方で約100万個!!) 糖尿病で高血糖状態が長く続くと、この細かい血管が壊れてきます。網の目が破れたり詰まったりして老廃物をろ過することができなくなるのです。

糸球体(腎臓の網)はたくさんあるので、ろ過できるものが残っているうちは尿をつくってくれますが、病気が進行するとほとんどの糸球体がつぶれてしまい「腎不全」と言われる尿が作れず、体に老廃物が溜まっていく状態になってしまいます。

糖尿病性腎症は、いきなり尿がでなくなるわけではありません。
最初は、ごく微量のたんぱく質(微量アルブミン)が漏れ出てきます。この段階は「早期腎症」と呼ばれ、適切な治療をすればたんぱく質の漏れでない状態に戻すことが出来ます。

早期腎症の段階で病気がわからず、腎症が進むともう少したくさんのたんぱく質が尿に出てくるようになります(タンパク尿
ここまで進行すると、次第に血圧も上昇してきます。血圧をコントロールするホルモン(レニン)がうまく調節できなくなるためです。高血圧はそれ自体が血管を傷つけ、さらに腎臓の状態を悪化させ、悪循環が生じます。

糖尿病性腎症の分類

糖尿病性腎症はその症状や治療によっていくつかに分類されています。

病期 検査でわかること 有効な治療法
尿タンパク(アルブミン) 腎機能
第1期
(腎症前期)
正常 正常 血糖コントロール
第2期
(早期腎症)
微量アルブミン尿 正常 厳格な血糖コントロール
血圧コントロール
第3期A
(顕性腎症前期)
持続性タンパク尿 ほぼ正常 厳格な血糖コントロール
血圧コントロール、タンパク制限
第3期B
(顕性腎症後期)
持続性タンパク尿 低下 血圧コントロール
低タンパク食
第4期
(腎不全期)
持続性タンパク尿 著明低下 血圧コントロール
低タンパク食、透析導入
第5期
(透析療法期)
透析療法中 透析療法
腎移植

第2期までは前の状態に戻すことができますが、第3期以降は「悪化させない」ことはできても「戻す」ことはできなくなってきます。 ですから、第2期(早期腎症)の段階で糖尿病性腎症であることを見つける必要が出てきます。

糖尿病性腎症の自覚症状

第2期(早期腎症)であるかどうかを早く見つける必要があるのですが、それは病院に行って尿を検査してみるしか方法がありません。なぜなら「自覚症状」が特にないからです。

第1期、第2期では体に感じる不調はほとんどありません。ですから、定期的に病院で尿の検査をしないと、微量アルブミンが出ているかどうかはわからないのです。

逆にいうと、「何か体の調子が変だなぁ」という状態ではすでに糖尿病性腎症は第3期になってしまっているのです。

第3期の自覚症状
浮腫(足がうくといった状態が足にも、全身にも見られる)
体動時の息ぎれや胸苦しさ
食欲不振や満腹感
第4期、第5期の自覚症状
顔色が悪い、易労感・嘔気あるいは嘔吐
筋肉の強直、つりやすい、筋肉や骨に痛みがある
手のしびれや痛み・腹痛と発熱

尿糖がでなくなっても尿の検査をするのは、「たんぱく質」が出ているかどうかをみるためなのです。

透析導入数グラフ、1992年から右肩上がりに増えています糖尿病に限らず、いろんな病気で腎臓が壊れて慢性腎不全になってしまった場合、透析療法という人工腎臓を使った治療法を受けることになります。糖尿病性腎症が原因で透析を受けることになった患者さんは、1990年には年間4,326人だったのが、2000年には11,685人と約2.7倍になっています。 以前は慢性糸球体腎炎という腎臓自体の病気が原因として多かったのですが、今はそれを抜き透析患者さん全体の36.6%が糖尿病性腎症の患者さんです。

病気の進行を防ごう!!

糖尿病性腎症は悪化させないことができます。

これらを十分に行えば、透析療法まで至らずにすむのです。

糖尿病性腎症を早期に発見し、悪化しないようにコントロールするためにも 定期的に病院へ行って検査を受けるようにしましょう。

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2008-11-01公開


もりやま越野病院
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