今回は尿糖のお話をします。
血糖値は、空腹時から食後にかけて一定の幅をもって滑らかに変化します。
では、尿糖はどんな風に変化するのでしょう?
尿糖も血糖と平行して変化していると思いますか?
そうではありません。
尿糖は、血糖値がある値を超えないと出てきません。
その値を「閾値(いきち)」と言います。
閾値には個人差がありますが、大体160〜180mg/dl程度と言われています。つまり血糖値が閾値より低ければ、70mg/dlでも150mg/dlでも尿糖は陰性です。(ほとんど検出されない)
閾値を超えて初めて、尿糖は陽性になるのです。
| 尿糖陰性 | ![]() |
尿糖陽性 | ![]() |
正常な人では食後でも血糖値が180mg/dlを超えることはまずありません。
ですから、普通はいつ尿を取っても尿糖が検出されることはありません。(ただし、風邪を引いたり妊娠したりすると閾値が下がって、血糖値が高くなくても尿糖が検出されることもあります)
病院に言っておしっこを採って「尿糖が出ています」と言われたら、それは血糖値がある一定の値(閾値)以上になった、ということになります。
糖尿病でも、血糖値が常に高い人ばかりではありません。食前は正常値で食後が高いという人もいます。その場合は尿糖は出たり出なかったりします。
食事の合間「いつからいつまでの尿なのか」で尿糖は陽性だったり陰性だったりするわけです。空腹時でも血糖が高い人の場合は、いつおしっこを取っても尿糖は陽性です。
| 血糖が高くない場合 | ![]() |
| 軽度の糖尿病の場合 | ![]() |
| 血糖がいつも高い 場合 |
![]() |
時々尿糖が出ているような場合「いつ検査をするか」で結果が変わってきます。尿糖が陰性だったとしてもそれが「いつも」なのか「たまたまその時」なのかまでは分かりません。
そういう場合は尿を溜めて1日の量を調べてみれば分かるのですが、家では尿を溜めるのも大変です。
では、尿糖が出ているのかどうかを見る方法はないでしょうか?
尿糖が出ているかどうかを見る検査、それが「1,5−AG」です。
これは「イチゴエージー」と読みます。正しくは「1,5-アンヒドログルシトール」と言います。
この「1,5−AG」というのは糖(グルコース)によく似た形をしています。
しかし血糖と違ってその変化量はごくわずかで、普通はいつ検査しても血液中の量は変わりません。(正常では14
μg/ml以上あります)
ところが尿糖が出るようになると、「1,5−AG」は糖と一緒にどんどん体の外に出て行ってしまいます。体の中に入ってくる量は少ないままなので血中の濃度はどんどん下がっていきます。
つまり、尿糖が出ているかどうか
ひいては血糖コントロールが悪化したかどうかがわかるのです。
1,5−AGが尿糖に反応するのは早くて、尿糖が出始めたらすぐに減っていきます。ですから数日前の血糖状態が推測できます。
血糖コントロールの悪化時は、1,5−AGは急速に減少します。
コントロールが改善する(尿糖が出なくなる)と、少しずつ一定の割合で回復していきます。
これで尿糖が出ているかどうかがわかるのです。
血糖コントロールの判定指標としては大体以下のようになります。(あくまでも目安ですよ)
| 優 | 良 | やや不良 | 不良 | |
|---|---|---|---|---|
| 血糖(mg/dl) (空腹時) |
70〜120 | 121〜140 | 140〜160 | 161〜 |
| 1,5−AG (μg/ml) |
10以上 | 6.0〜9.9 | 2.0〜5.9 | 2.0未満 |
| HbA1c (%) |
〜7.0 | 7.1〜8.0 | 8.1〜9.0 | 9.1〜 |
「1,5−AG」なんて聞いたことないなー、そんな検査したことない、という方も多いかもしれません。 「HbA1c」に比べれば馴染みの薄い検査かもしれませんが、自分の状態を見るいろんな視点の一つとして、「1,5−AG」という検査も覚えておいて損はないですよ?
2008-11-01公開