透析食についてのQ&A


越野病院の頃から頂いた透析食についての質問をまとめています。

にくきゅーにゃんこふぉんと byあくび印へ

*お見舞いに持っていく食べ物では、何がよろしいのでしょうか?ご教示お願いします。

*透析を受けている患者様には様々な食事制限がありますので、病院食で厳格な食事管理をしています。お見舞いに何か差し上げたいというお気持ちはお察ししますが、食べ物の差し入れは控えていただいた方がよいかと思います。
透析の方は水分も制限されますので、飲食物よりは、お花や本などをお見舞いに持っていかれてもよいのではないかと思います。

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*蛋白制限した食事では、不足する栄養素がでてくるのではないかと思うのですが、どういったものを多くとった方がよいとかありましたら、教えてください。

*まず食事から摂取する総タンパク質量の60%ぐらいを「動物性のもの」で取るようにしてください。またせっかく摂取したタンパク質をエネルギー源として無駄に燃焼させないように、炭水化物と脂質で十分なエネルギー量を摂取しておくことが大切です。
ただタンパク制限の程度にもよりますが、通常の食材のみで、低タンパクをクリアしエネルギーを十分にとるのはなかなか難しいと思います。ですから治療用の特殊食品などを利用してみるのもよいでしょう。最近では結構味のよいものも市販されていますので、うまくご活用下さい。

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*市販の食品やスーパーでのお惣菜などはリン値やカリウム値をどのように調べればいいのですか??

*「スーパーのお惣菜」となると調べるのは難しいと思います。市販品でしたら 「市販食品成分早見表」 といった書籍が一般の本屋さんで売られていますので、それから値を知ることができます。
ですがメーカーによっては記載していない場合もあり、すべてがわかるわけではありません。そのような場合、インターネットや電話で直接メーカーに問い合わせるという方法もあります。私も以前、患者様から同様の質問を受け、電話にて問い合わせしてみましたところ、即回答していただけました。

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*だしを濃いめにとるほうが減塩対策になるのですが、透析食の場合昆布を使うとカリウムが多いので使わないほうがいいとおもうのですが、ほかいりこやかつおしいたけなどでとるほうがいいのですか? いりこやかつおのたんぱく質を考慮する必要はありませんか?
それといろいろな調整食品がありますが、どのような調整食品をつかっていますか? しょうゆやみそなどの調味量などだけですか?それともお米や小麦粉などもですか?

*当院では昆布とうるめの混合だしを使用しています。特に濃いめにとっていません。だしに含まれるカリウムやリンを考慮することも必要かもしれませんが、微々たるものではないかと思っています。それより食材の使用量や組み合わせて調節したほうが良いと思います。調整食品はカロリーアップのための粉あめのみ使用しております。
家庭での食事の参考にしていただきたいと思っておりますので、普通の食材・調味料を使った透析食作りを心がけています。
施設などでの透析食については、透析を受けている病院と相談されて、申し合わせをしておくと楽かと思います。また食欲のない方に無理に制限をつける必要があるかなども相談されておけば良いのではないでしょうか。

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*介護事業所の仕事をしています。高齢のためベビーフードもとりいれたいのですが、いいのでしょうか?

*透析患者で嚥下・咀嚼困難な方ためのミキサー食としての利用ということでしょうか??
一般の方の場合は、赤ちゃんが安心して食べられるものですので、高齢者にとっても問題なく利用できると思います。最近では高齢者向けのミキサー食等がいろんなメーカーからたくさんの種類、市販されていますので、それらを試されてはいかがでしょうか? 1食分ずつのものや何食分かに分けて利用できるものなど様々なので、使い勝手はよいと思います。ベビーフードだと味付けが薄めであったり、量が少なく価格的に割高になる場合もあるかと思われますので・・・。

透析患者さんの場合、リンやカリウムの制限があるので、どれでもよいと言うわけにはいきません。
しかし、通常の食材を選ぶように内容成分を考慮すれば、一般高齢者向けのものやベビーフードも利用することができます(透析患者さん向けのレトルトや冷凍のミキサー食も販売されていますが、少々高値? かと思われます。)
いずれにしても利用者(患者)さんの病態・嗜好・コスト・使用頻度に合ったものを選ばれるとよいかと思います。

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*穀物に含まれるリンは小腸で吸収されにくいというのは本当ですか??玄米やライ麦パン、そばには多くのリンを含んでいますが、これらは安心して摂取してもよいのでしょうか?

*それは何かの本かテレビなどで紹介されていたのでしょうか? 私自身の知識不足もありますが、これまでに聞いたことがない事柄です。差し支えなければ情報源を教えていただけるとこちらでも読解し、何らかの回答ができるかと思います。

どういう根拠に基づいた情報かは存知あげませんが、予想されるものとして、玄米・ライ麦・そばは精白米・小麦粉・うどんよりも食物繊維を多く含んでいるのでその食物繊維が腸壁からの栄養素の吸収を妨げる(遅らせる)効果があるというところからきているのかもしれません。しかし、リンを多く含む食品については吸収の度合いの違いはあったとしても、安心していくらでも食べてよいということはないように思いますので、今後も摂りすぎのないように留意していきたいものですね。

情報源についてのお返事です。↓

情報源は透析食ワンポイントアドバイスというインターネットのサイトによるものでした。穀類に含まれるリンは大部分がフィチン酸であるため消化酵素の作用を受けずに腸から吸収されにくいとののことでした。

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*透析の方でお茶の種類で飲んでいいもの。飲むのはいけないものなどあるのでしょうか?

*お茶の選択方法ですが、留意して欲しい栄養素としてはカリウムではないかと思います。透析患者さんでは1日のカリウム摂取総量が1500〜1800mg程度とされています。食事をバランスよく食べた上で、飲み物から摂取するカリウムを調節していくとよいでしょう。
それぞれのカリウム含有量を知り、高カリウム血症にならない程度の摂取量にとどめておくことをお勧めします。また、水分の摂り過ぎにも注意しましょう。
お茶やその他飲み物のカリウム含有量は以下のようになりますので、参考にしていただければ幸いです。

カリウム含有量(100ml当たり)
煎茶 27mg 番茶 32mg ほうじ茶 24mg 玄米茶 7mg
ウーロン茶 13mg 玉露 340mg 抹茶 81mg
(粉3g当たり)
ちなみに・・・
紅茶 8mg コーヒー 65mg インスタント
コーヒー
72mg
(140ml当たり)
ピュア
ココア
289mg ミルク
ココア
175mg ←これらココアは牛乳がプラスされるので高くなっています。

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*カリウムについてお伺いしたいのですが海草類の茹でこぼしや水さらしによる、カリウム残存率はどのくらいでしょうか?また、塩分の残存率も教えて下さい。

*いろいろ調べてみたのですが、そのような値が見当たりませんでした。
食品成分表によると、たとえば

100g中 カリウム 塩分相当量
わかめ(原藻) 730mg 1.5g
乾燥わかめ(素干し)を水戻ししたもの 260mg 0.7g
湯通し塩蔵わかめ(市販通称名 生わかめ)を塩抜きしたもの 12mg 1.4g

と記載されています。こうしてみると、カリウムを多く含む海藻類でも水にさらして湯に通すことでかなりのカリウムを減らすことができるようです。あとは摂取量で調節することで食事のなかにとりいれることができるでしょう。

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*栗は殻ごと茹でることによって、カリウムと食物繊維が増える!と、TVで放送されていたそうです。食品中のカリウムは、茹でることによって溶出することは理解していたのですが、栗の場合は、殻に含まれるミネラルが茹でることにより実に移行するということなのでしょうか?

*カリウム自体は水溶性のものなので茹でることによって増えるということは考えにくいのですが、番組で紹介されているようにレンジでチンすることによって茹で時間を短縮すればカリウムの溶出率は下がるように思います。
また、食物繊維については水溶性のものと不溶性のものがあるのですが、栗に含まれる食物繊維のほとんどが不溶性のものなので茹でることによる損失は少ないと思われます。
栗の堅い殻(鬼皮)のまま茹でることによりカリウムや食物繊維の損失を少なく抑えることになるでしょう。

食品成分表には生栗とゆで栗では茹でたほうがカリウム、食物繊維ともに数値が高くなっていますが、これはゆで栗は茹でた状態での100gに含まれるものとして表示してあるため、ゆで栗100g分は茹でる前の状態では100g以上ということになるので当然栄養成分値も高くでてしまいます(ゆでる事で実が引き締まるけれどカリウムなどは溶け出さないので、結果としてカリウムや食物繊維の濃度が上がり、数字は増えてしまう)
ちなみに五訂日本食品成分表(医歯薬出版)によると、

100g中 カリウム 食物繊維
生栗(鬼皮、渋皮を除いて) 420mg 3.9g
ゆで栗(鬼皮、渋皮を除いて) 460mg 6.3g

と表記されています。
こうしてみると鬼皮に含まれているカリウムが実に移行するというよりはもともと実に多く含まれているもののようですね。
TV番組ではどういった根拠に基づいて“増える!”と紹介したのか調べきることができませんでした。申し訳ございません。

栗もおかずにはなりにくいですが、食材のなかでも季節感を感じさせてくれる大切なものでもありますので、食生活のなかに上手にとり入れてみてください。

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*果物の一日の許容量について知りたいのですが、重量とカリウム含有量のどちらを目安に摂取するのがよいのでしょうか?

*血液透析患者さんでは1日のカリウム摂取総量が1500〜1800mg程度とされているかと思います。食事をバランスよく食べた上で、果物から摂取するカリウム値は約75〜90mg程度と考えられます。
ほとんどの果物にはカリウムが多く含まれていますが、そのなかにもカリウム含量の多い果物もあれば比較的少ない果物もあります。果物の重量であっても、カリウム含有量であっても、最終的には「取り過ぎない」ことが重要です。

どちらを参考にされても良いと思いますが、食べたい果物のカリウムの含有量を知り、高カリウム血症にならない程度の摂取量にとどめておくことをお勧めします。
また、缶詰の果物を上手に利用してみるのもよいかと思いますが、缶汁の中にはカリウムが溶け出していますので残すようにしましょう。
果物のカリウム含有量の表を添付しましたので、参考にして下さい。

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*最近、人工透析の方宅に調理での派遣依頼があり、透析食の調理をしています。野菜を調理する際には茹でこぼしをするように言われていますが、野菜炒めをする際も事前に茹でこぼしをしてから炒めた方が良いのでしょうか?

*基本的に加熱調理の際の野菜類に関しては、さっと茹でこぼしすることをおすすめします。茹でこぼしをすることで野菜などに含まれるカリウムをいくらか除去することができます。
カリウムは水溶性なので、水にさらしておくだけでも同様の効果が得られます。また、切ってから水にさらすことによって水に触れる断面が増え、よりカリウムが溶け出しやすくなります。

あまり茹で時間が長いと素材そのもの味や歯応えががなくなってしまいますので、茹でこぼす際には食材を切ってしばらく水にさらしてからさっと茹でこぼすと、素材の触感を残したまま料理を仕上げることができると思います。また、このように茹でこぼすことによって味付けの際に少ない塩分でも味がしみこみやすくなったり、短時間で調理できるというメリットもあります。

今回は炒める際についてのご質問ですが、野菜といっても生のまま食べたいものもあるかと思います。そんなときは、茹でこぼしをしなくても前述のとおりに切って水にさらしてから調理するとよいかと思います。

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*野菜を水にさらすと良いとのことですが、実際に野菜を水にさらす時間はどれぐらいの時間さらせばよいのでしょうか?その野菜によっても違うと思いますが・・

*水にさらす時間ですが、目安として10分ほどです。何かほかの事をしているあいだ水にさらしていれば大体そのくらいになると思います。長くなる分には問題はありません。
料理の手順の間にうまく組み込んでみてください。

2008-11-01公開


もりやま越野病院 栄養部
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