谷本知事医政懇話会講演要旨


 石川県として多くの課題抱えているが、最近は、医師の皆さん方と大きな係わり合いのある課題がどんどん出てきている。

 一つは、少子化という問題です。石川県は、戦後一貫して人口が増え続けておりましたが、昨年の10月の国政調査で、数千人ですが人口減少の仲間入りをした。人口減少がどういう影響をもたらすのかということについては、いろいろなご指摘がある。一番厳しいご指摘は、人口が減り始めると地域の活力が減退していくのだと。そのためには、何としても人口減少に歯止めをかけてもらわなければいけないというご意見もある。そうであるとするならば行政として、少子化に歯止めをかけるため県としてやるべき対策に最善を尽くしていく必要がある。まず、少子化の原因をしっかり分析をしておかなければいけないということで、一昨年若い方々を対象にアンケート調査を実施した。

 その中から浮かび上がってきましたのは、

1.子育てと仕事の両立ができなくなるのではないかという不安です。

2.子育ての密室化による精神的不安です。

3.経済的な負担からくる子供をたくさん産めないという不安です。

4.子供さんの産前産後を含めての医療面での不安です。

これはすべて県だけで解決できるということではない。経済的な負担の軽減ということになると国も相応の負担を。子育てと仕事の両立ということになると、企業の理解と協力をなど、いろいろな立場の方が、その立場を乗り越えて少子化対策に一丸となって協力をしてもらわなければいけないということである。その中でも行政は、率先してやっていく必要がある。

 その一つがプレミアムパスポート制度です。企業の皆さん方に次の世代の人材を育てるのだという、意味合いも込めて積極的に参加をしてもらう。3人以上の子供さんをお持ちの世帯にパスポートを発行し、そのパスポートをいろいろなお店で提示をしていただくと、割引サービスが受けられる。貢献していただいている企業については、積極的に表彰や顕彰おして、企業の社会的な評価を高めて差し上げる。参加していただいている企業が約1,200店舗、それから3人以上の子供さんをお持ちの世帯17,000世帯のうち、パスポートを取得していただいている世帯が12,000世帯である。

 二つ目は子育てに悩んでおられる専業主婦への対策としてマイ保育園登録制度がある。保育所の保育士を子育て支援のコーディネーターとし、子育て支援プランを作成する。そして子育てに対する精神的な不安を解消してさしあげる取り組みを始めた。

 経済的な負担ということについては、これは児童手当ということになる。児童手当にかかる予算は、もうすでに七十数億円お支払いしている。これを増やすべきだということになれば国がリーダーシップを取っていただいて児童手当をもっと充実する。

 四つ目は、医療の面での不安の解消。このことについては県立中央病院で総合母子医療センターを立ち上げた。採算という面からいうと不採算。やはり県が取り組むのに相応しい事業ではないのかなということで立ち上げた。この6月補正予算で議会にもお願いしている、子供さんの救急医療相談を平日の夜間にも拡げていこうということで、予算をお願いいたしている。特に小児科の先生方にもぜひご協力をいただきたいと思っている。

医師不足という問題、石川県全体では医師は足りているが、能登、奥能登では医師不足が顕在化している。これを我々としては何とか解消していかなければいけない。そのために人材サポートセンターというのを急遽立ち上げ、能登地域で自分の体の許す限りにおいて医療サービスできる先生を今募集している。加えて小児科と産科のお医者さんも不足をしてきている。そこで、今までの奨学資金は600,000円、これを今議会の方でお願いし2,400,000円に引き上げ、2年間、小児科、産科の医師が不足しているところで勤務をすれば、奨学資金を一切返済していただかなくてよい制度です。

健康フロンティア戦略と名を打って、健康でいられる期間をどう長くしていくのか、こんな取り組みを今始めたところである。生活習慣病対策に適切な手当を施すということが、健康寿命を延ばす一番の最有力の手段。そこに光をあてていく取り組みを今から始めようとしている。

少子化という問題、医師不足の問題、健康寿命をどう伸ばしていくか、そんな取り組みをすすめていかなければいけないということであり、今までと違った形で、石川県内の医師の皆さん方と大きな係わり合いを持ちながら、お互いに建設的な前向きの議論を交わしたいということです。

市の医師会ということになりますと、県の医師会を飛び越えて知事も膝詰めでお話し合いをすることは、難しいわけですが、お互いに問題意識を共有できれば、それにこしたことはないと思っている。今日は医政懇話会ということで、こういう機会をおつくりいただいたというのもこれも何かのご縁、これからもお互いに問題意識を高いレベルで共有しながら、しっかりと情報交換をし、県民の皆さん方にどう質の高い医療サービスを提供していけばいいのか、そんなことについてお互い建設的な、前向きな議論をさせていただければと思いを申し上げさせていただきました。



講演終了後、質疑応答に入り、以下の先生方から質問がありました。

越野慶隆先生

1.現在一番困っていることは看護師の数です。やはり私達は有効なナースの供給源として県立総合看護学校がより活性化されることを期待しております。その運営方針に、我々の地域の医師会にとって有用な人材を出す、そのために我々と協力してもらうという姿勢を少し持って欲しいと思います。

2.看護師という職業は24時間就業です。子供を持っている看護師が働きやすい保育所等の設営もよろしくお願いします。

谷本知事

1.不足しているということであれば、その供給体制は整えていかなければいけない。看護師さんでも、第一線から離れているという潜在的な方も結構おられるというふうに思う。そういった方々の掘り起こしもしっかりやっていかなければならない。と同時に新卒の看護師さんの供給もやっていかなければならない。一方で看護の質を高めることもニーズとしてあるので、看護の質を高めながら必要な看護人材をどう供給していくのか、前向きで建設的な議論をしていくということが大事である。

清水巍先生

1.小児の医療費助成の問題です。石川県の場合、3歳までが対象ですが他県では、だいたい半分以上が就学前、未就学前、いわゆる6歳未満です。それから償還払いから現物給付に改めていただけないかと。現物給付性にしていただくとお母さん方の負担がすくなくなって子どもを産みやすい、育てやすいという点もございます。また1,000円のあしきりという問題もございます。

谷本知事

乳幼児の医療費助成については一つのルールを作ったつもりです。これは今の状況の中で県の方は助成を充実していけばいくほど市町村の財政負担が軽減される。これは市町村が先行しておやりになっているからです。議会の方でもこの乳幼児の医療費の充実についてはもう質問があり思い切ってこれは引き上げました。また1,000円というのが大きな負担なのかどうなのかというのは、なかなか難しいところ、1,000円ぐらいのご負担はあってもいいのではないかと思う。

それから償還払いにはいろいろ議論がありますが、市町村の方からしてみますと、現物給付をやると国保で国の補助金が削減されるペナルティをかけられるので、これはやはり償還払いという形でやらざるを得ない。国は方針をがんとして変えないということであり、償還払いは、やむを得ないのではないかなと。そこはぜひご理解いただきたいと思う。

松本吉典先生

1.診療報酬改定で、療養病床を減らすという線を強く打ち出したが、それに対して県独自として何か対策をお考えになっているのか。

2.旧県庁舎の取り扱いについて考えをお聞かせ下さい。

谷本知事

1.おっしゃるように本当に在宅介護の受け皿がそれほど整っているのかどうかということになれば、まだこれは正直にいってクエスチョンマークの部分はあるのだろうというふうに思います。施設介護から在宅介護への流れはそうであるのかもしれないが、そこへ至るスピードというのか、そのことにどれほどの配慮を加えるべきなのかなどについて、国は実態をどのように把握しておられるのか、聞いて見たいという気持ちでございます。

2.県庁の本館は、大正13年に建てられた建物。大正時代にまさに鉄筋コンクリートの建物は石川県では始めての建物です。大変な歴史性があるというふうに私自身は思っていますので、ぜひ残さなければいけないと思っている。いろんな方からいろいろなご意見が出てまいりましが、とにもかくにも南ブロックの正面の部分、あそこは残すということで何とか大方のご理解を得られた。



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