医政懇話会「馳 浩氏と語る会」講演要旨(抜粋)


1. 与党政調会長の役目

与党の政調会長・副会長は強力な権限を持っている。総ての役所予算について政調会長の承諾を受けないと、自民党本部の政策、予算、法律案が国会に提出することができないことになっている。これを権力の二重構造と呼ばれている。

今、文部科学副大臣をしているが、文部科学省の政策全般について決裁はできる。学校評価、教員評価について決裁できるが、党の政調会長のもとで副会長などすれば、全部の役所のものが最終的に政調会長のもとにきて決裁し、その後自民党の総務会を全会一致で通らないと政策を国会に提出できないことになっている。この構造は大平総理大臣の時に自民党が作った。政策を立てるのにはまず、与党で審議し、国会で審議する二重構造を作った。表向きは政府の権限であるが、裏で行政、立法の権限を与党で束ねる。小生は政策を企画する立場になってやりたいと思っている。



2. 児童虐待、高齢者虐待防止改正法について

三年前法案を「虐待を受けたと思われる児童を発見した場合には、通報しなければならない」と改正を行った。以前は「虐待を発見したものが通報しなければならない」、今回は通報義務があるが、罰則を付けなかった。(秋田の藤里町子殺害事件の例)

警察への通報は3年前においては年間13000件〜16000件であったのが、改正後には30000〜32000件に増えている。警察では通報があると本人に対面確認、事実確認をしなければならないことになっている。このことで児童虐待を水際で防ぐことができるようになった。児童虐待の犠牲になるのは0歳児が6割で、虐待するのは母親です。虐待の原因は母親が育児ノイローゼや家に閉じこもりなどでこの事態に対し、何らかの手を差し伸べることが重要です。幼稚園、保育所、内科、小児科医は若い母親の子供に対する生き方を見て指導をいただきたい。

昨日のニュースで86歳の妻が90歳の認知症の夫をガムテープで口を塞いで殺害した。老老介護、老人施設介護においても虐待はある。虐待には暴力、心理的、ネグレクト、性的、生態虐待がある。成人後見人制度を申請すればよい。また、現金、年金を取り上げる経済虐待など大人と大人の虐待の早期発見の対応が重要です。高齢者防止法は昨年12月成立、4月1日施行されネットワークを構築し、市町村に相談窓口をつくり、通報をしやすくした。



3. 資料・新医師確保総合対策(地域医療に関する関係庁連絡会議2006/8/31)

外務大臣、法務大臣、厚生労働大臣、文部科学大臣の合意を得た資料です。

・医療安全支援センターの設置運営について

・医師の偏在問題について

上記の資料は金大・県厚生部・市福祉保健局など交渉するときの参考資料にしていただきたい。



4. 医師偏在問題について

医師の偏在問題、医療事故再発防止について厚生労働省は大きな柱として取り組んでいる。

新潟県選出の森議員の指名で参議院の厚生労働委員会に呼ばれた。新潟大学医学部の定員は100名、金沢大学医学部の定員は100名です。人口は新潟県240万人、石川県118万人で不公平であるので定数を増やしたいとのことでしたが、医師定数は自民党と政府、日本医師会との合意事項で医師供給計画3500人〜4000人あるため、簡単に定数を増やせない仕組みになっている。これは閣議決定もされている。簡単に増やせません。ただ改革として青森、秋田、岩手、山形、新潟、長野、山梨、福島、三重など10県は住民10万当りの医師数が極端に少ない。医師数の少ない10県は平成20年から10年間だけは特例として大学医学部定数を増やしてもよいとのことになっている。条件は地域枠を作っていただくこと。秋田大学であれば秋田県出身の高校生を推薦で10名から15名増員していただくこと、その場合に県として奨学金制度を実施して、大学に入学した時、地域医療に取り組みますという風な教育をし、地域の定着を図ってもらう。

全国大学附属病院長会議で東大病院長、弘前大学病院長、金大病院長などに集まって頂き、医師偏在問題は社会問題であり、過疎地域で医師が少ないため、効率よく公立病院に医師を配置したい。また小児科、産婦人科、救急医療の偏在について取り組みたいということで意見を伺った。医学部に入ってから医師の偏在、診療科別や地域別の医師不足問題に取り組んでも遅いといわれた。大学の基礎教育の段階で学生を指導するにあたって、研修実習に出した後に指導医の言うことを聞かない。小児科、産婦人科医の医療事故の対応、訴訟に持ち込まれたときの判断、折角医術向上励んでいるのに報われないためでないか。また美容形成のように楽な診療科にいきたがる。

せっかく、国立大学附属高校、中学、小学がある。地方では特に。都会であれば、私学や予備校があるので、そこでエリート教育をする。しかし、地方の附属高校、中学、小学の生徒の保護者は医師が多くいるので、小学、中学のころから立派な医師になって地域に貢献したいとゆうような授業をしていけばよいのではないか。最近教育で成功したその事例がスーパーサイエンスハイスクール事業です。泉ヶ丘高校で東大合格者が21名と3倍に増えた。その理由として、もともと力のある生徒が進学しているのだが、講義を大学の先生がしてくれる、大学の研究室に行くことができる、OBの職場にいく、物理の授業で三次元の必要な教材を買うことができ、物理を楽しく体で感じて勉強ができるなどの教育によりモチベーションが上がり、上を目指すようになり、具体的な志を持つようになった。

よって、医者になることが素晴らし仕事であるということを伝えればいい。手術を見せてあげる、看護師と一生に病棟を廻る、看護部長、外科部長に授業をしていだくことによって、将来の志を立てる教育をしなければならない。でないと大学に入り、そこから医師偏在問題に取り組くんでも既に遅い。このことを暮れの予算編成までに対応したい。偏在問題の解決のために、教育関係の予算として全国の附属中学、高校に大学病院の医師、看護師など講義できる予算をつけるように政府で検討します。勉強をして医師になってふるさとに戻って自分が診療しなければという志を育てるような教育が大切と考えます。



5. 難病対策

難病対策の対象になる患者は5万人が目処である。よって潰瘍性大腸炎8万人、パーキンソン病7万人などは外れる。原因不明、治療方法の確立、長期間の療養を必要とする、ごくわずかしかいない患者は難病の研究対象となる。現在指定されている121の難病がある。その中で難病対策として公的補助するのは45億。長期にわたり、研究、治療が確立してきた難病は対策から外すが重症の方は公的福祉支援を行う。このように何か外さなければ、新たな難病疾患が認められない。この3年間新たな難病疾患が研究対象に認められていない。

FOPについて今年の秋に難治性疾患対策懇談会を開いて、ルール作りをし、潰瘍性大腸炎、パーキンソン病については対象から外れた。FOPの患者さんは想像を絶する辛さを感じておられる。


戻る