活動記録

平成18年度 活動記録

平成18年11日4日(土)

山出 保 氏

日 時  平成18年11日4日(土) 午後6時から

場 所  石川県医師会館 4階 大研修室

演 題  「市政懇談会」

市政懇話会「山出 保氏と語る会」

金沢市の近未来構想

・大型船舶接岸のための港湾整備

・県内、外からの顧客誘致および物品輸送のための道路整備

・古都金沢の伝統工芸、芸能の保護や継承

・広坂、小立野地区の活性化

・旧金沢大学工学部跡地の利用   など。

平成18年9月2日(土)

馳 浩 氏

日 時  平成18年9月2日(土)  午後7時から

場 所  金沢市健康プラザ 大手町東館 4階大研修室

演 題  「医政懇話会」

講演要旨

医政懇話会「馳 浩氏と語る会」講演要旨(抜粋)

1. 与党政調会長の役目

与党の政調会長・副会長は強力な権限を持っている。総ての役所予算について政調会長の承諾を受けないと、自民党本部の政策、予算、法律案が国会に提出することができないことになっている。これを権力の二重構造と呼ばれている。

今、文部科学副大臣をしているが、文部科学省の政策全般について決裁はできる。学校評価、教員評価について決裁できるが、党の政調会長のもとで副会長などすれば、全部の役所のものが最終的に政調会長のもとにきて決裁し、その後自民党の総務会を全会一致で通らないと政策を国会に提出できないことになっている。この構造は大平総理大臣の時に自民党が作った。政策を立てるのにはまず、与党で審議し、国会で審議する二重構造を作った。表向きは政府の権限であるが、裏で行政、立法の権限を与党で束ねる。小生は政策を企画する立場になってやりたいと思っている。

2. 児童虐待、高齢者虐待防止改正法について

三年前法案を「虐待を受けたと思われる児童を発見した場合には、通報しなければならない」と改正を行った。以前は「虐待を発見したものが通報しなければならない」、今回は通報義務があるが、罰則を付けなかった。(秋田の藤里町子殺害事件の例)

警察への通報は3年前においては年間13000件~16000件であったのが、改正後には30000~32000件に増えている。警察では通報があると本人に対面確認、事実確認をしなければならないことになっている。このことで児童虐待を水際で防ぐことができるようになった。児童虐待の犠牲になるのは0歳児が6割で、虐待するのは母親です。虐待の原因は母親が育児ノイローゼや家に閉じこもりなどでこの事態に対し、何らかの手を差し伸べることが重要です。幼稚園、保育所、内科、小児科医は若い母親の子供に対する生き方を見て指導をいただきたい。

昨日のニュースで86歳の妻が90歳の認知症の夫をガムテープで口を塞いで殺害した。老老介護、老人施設介護においても虐待はある。虐待には暴力、心理的、ネグレクト、性的、生態虐待がある。成人後見人制度を申請すればよい。また、現金、年金を取り上げる経済虐待など大人と大人の虐待の早期発見の対応が重要です。高齢者防止法は昨年12月成立、4月1日施行されネットワークを構築し、市町村に相談窓口をつくり、通報をしやすくした。

3. 資料・新医師確保総合対策(地域医療に関する関係庁連絡会議2006/8/31)

外務大臣、法務大臣、厚生労働大臣、文部科学大臣の合意を得た資料です。

・医療安全支援センターの設置運営について

・医師の偏在問題について

上記の資料は金大・県厚生部・市福祉保健局など交渉するときの参考資料にしていただきたい。

4. 医師偏在問題について

医師の偏在問題、医療事故再発防止について厚生労働省は大きな柱として取り組んでいる。

新潟県選出の森議員の指名で参議院の厚生労働委員会に呼ばれた。新潟大学医学部の定員は100名、金沢大学医学部の定員は100名です。人口は新潟県240万人、石川県118万人で不公平であるので定数を増やしたいとのことでしたが、医師定数は自民党と政府、日本医師会との合意事項で医師供給計画3500人~4000人あるため、簡単に定数を増やせない仕組みになっている。これは閣議決定もされている。簡単に増やせません。ただ改革として青森、秋田、岩手、山形、新潟、長野、山梨、福島、三重など10県は住民10万当りの医師数が極端に少ない。医師数の少ない10県は平成20年から10年間だけは特例として大学医学部定数を増やしてもよいとのことになっている。条件は地域枠を作っていただくこと。秋田大学であれば秋田県出身の高校生を推薦で10名から15名増員していただくこと、その場合に県として奨学金制度を実施して、大学に入学した時、地域医療に取り組みますという風な教育をし、地域の定着を図ってもらう。

全国大学附属病院長会議で東大病院長、弘前大学病院長、金大病院長などに集まって頂き、医師偏在問題は社会問題であり、過疎地域で医師が少ないため、効率よく公立病院に医師を配置したい。また小児科、産婦人科、救急医療の偏在について取り組みたいということで意見を伺った。医学部に入ってから医師の偏在、診療科別や地域別の医師不足問題に取り組んでも遅いといわれた。大学の基礎教育の段階で学生を指導するにあたって、研修実習に出した後に指導医の言うことを聞かない。小児科、産婦人科医の医療事故の対応、訴訟に持ち込まれたときの判断、折角医術向上励んでいるのに報われないためでないか。また美容形成のように楽な診療科にいきたがる。

せっかく、国立大学附属高校、中学、小学がある。地方では特に。都会であれば、私学や予備校があるので、そこでエリート教育をする。しかし、地方の附属高校、中学、小学の生徒の保護者は医師が多くいるので、小学、中学のころから立派な医師になって地域に貢献したいとゆうような授業をしていけばよいのではないか。最近教育で成功したその事例がスーパーサイエンスハイスクール事業です。泉ヶ丘高校で東大合格者が21名と3倍に増えた。その理由として、もともと力のある生徒が進学しているのだが、講義を大学の先生がしてくれる、大学の研究室に行くことができる、OBの職場にいく、物理の授業で三次元の必要な教材を買うことができ、物理を楽しく体で感じて勉強ができるなどの教育によりモチベーションが上がり、上を目指すようになり、具体的な志を持つようになった。

よって、医者になることが素晴らし仕事であるということを伝えればいい。手術を見せてあげる、看護師と一生に病棟を廻る、看護部長、外科部長に授業をしていだくことによって、将来の志を立てる教育をしなければならない。でないと大学に入り、そこから医師偏在問題に取り組くんでも既に遅い。このことを暮れの予算編成までに対応したい。偏在問題の解決のために、教育関係の予算として全国の附属中学、高校に大学病院の医師、看護師など講義できる予算をつけるように政府で検討します。勉強をして医師になってふるさとに戻って自分が診療しなければという志を育てるような教育が大切と考えます。

5. 難病対策

難病対策の対象になる患者は5万人が目処である。よって潰瘍性大腸炎8万人、パーキンソン病7万人などは外れる。原因不明、治療方法の確立、長期間の療養を必要とする、ごくわずかしかいない患者は難病の研究対象となる。現在指定されている121の難病がある。その中で難病対策として公的補助するのは45億。長期にわたり、研究、治療が確立してきた難病は対策から外すが重症の方は公的福祉支援を行う。このように何か外さなければ、新たな難病疾患が認められない。この3年間新たな難病疾患が研究対象に認められていない。

FOPについて今年の秋に難治性疾患対策懇談会を開いて、ルール作りをし、潰瘍性大腸炎、パーキンソン病については対象から外れた。FOPの患者さんは想像を絶する辛さを感じておられる。

平成18年7月15日(土)

岡田 直樹 氏

日 時  平成18年7月15日(土) 午後7時から

場 所  金沢市健康プラザ 大手町東館 4階大研修室

演 題  「医政懇話会」

講演要旨

岡田直樹参議院議員と語る会

1.日本医師会の会長選について

日本医師会の会長選挙がございまして、武見、西島両参議院議員にとっては本当に政治生命をかけたような選挙であったというふうに思います。我々自由民主党と比較的関係の良好な新会長が誕生されて、今後我々自民党としても医師会の先生方と密接な関連の、協力の下に医政というものを考えていくことができるのではないか、こういうふうに期待をしております。

2.北朝鮮のミサイル問題

これもまた国民の安全安心を大きく脅かすものでありまして、大変残念なことであると思います。テポドンの方はどうやら失敗に終わったようでありますけれども、日本に向けて飛んでくるのは中距離ミサイルのノドンの方なのであります。

ミサイルにはミサイルで対抗するしかないのでありまして、まずドンと打ち上げられたものを護衛艦、イージス艦という言葉を最近お聞きになると思いますが、非常に高性能のレーダーを持って、早期にミサイルを探知してそのイージス艦から艦対空ミサイルを打ち上げて迎撃をすると。そしてその撃ち漏らしたものがまた日本の上空に到達したら、今度はパトリオットという地対空ミサイルで迎撃をするという、二段構えのシステムを考えております。

しかしその配備は先日我々も入って会議をいたしまして1年間前倒し、早期に配備をするということになりましたけれども、それでも一応の完備というか計画を達成するには5年間の歳月がかかります。今政府の方では国民保護法制というものを作りまして、万一の場合に都道府県、市町村それぞれの役割で国民の皆さんを守る、そのガイドラインを今作りつつあるところであります。

その際にはもちろんこの医師会の先生方のご協力というものも得ないとその計画は作れない。しかし万、万が一にもそういった計画が実施をされるようなことがあってはならないと、必ずこれを平和的な手段で阻止しなければいけないという、今大変難しい仕事に私は直面をいたしております。参議院の外交防衛委員という、いわば外務省と防衛庁を直接担当する部門におりますので、今非常に厳しい思いをいたしておりますけれども、それと同時にこの国民の皆さんの日常的な安全、安心、そして健康を担っておられるのは医師会の先生方でありますから、どうか今後ともご指導を賜りたいと思うわけであります。

3.国民皆保険制度

規制緩和論者のある方が今日本の病院へ行ってもベンツに乗って来る人も、ポンコツに乗って来る人も、同じ医療サービスを受けることができるというのは、むしろ悪平等ではないかと、こんなことまで言われて私はちょっと愕然としたのであります。ベンツとポンコツという言葉が耳に本当に残って、今でもこびりついております。それはもちろん多少経済力によって受けることのできるサービスが違ってくることが当然のことだと思います。しかしやはり国民の皆さんが本当に必要とする医療を受けることができる国民皆保険というのは、これは本当に決して崩してはいけない、日本の誇るべき制度ではないか。

4.医療制度改革関連法案

今回の医療制度改革についても、先生方いろいろとご不満の点が多いと思います。西島先生は特に厚生労働委員会の委員でありましたから、今回医療制度改革関連法案を委員会で質疑をして、そして採決をするという厳しい立場に立たされたわけであります。結局は自民党が政府と一体となって進める、そういう改革でありますから、西島先生はいくつもの問題点についてするどい質問をして、そして最後まだまだ納得できないことが多いけれども、手を挙げざるを得ないという非常に苦しい胸のうちを語っておられました。その代わりに21項目という付帯決議をこの法案に付すことを、これは並大抵のことではなかったと思います。数項目そういう付帯決議をつけるというのはよくあることなのですけれども、21箇条とこれほど多くの付帯決議のついた法案というのは、私は国会に入ってから初めてであります。そこにはいろいろな患者さんの負担が野放図に増えないように、そして国民皆保険という制度が維持をされるように、また混合診療が無闇に拡大をしていかないようにと、たくさんの釘を刺した、それが今回の付帯決議であったわけであります。

5.骨太の方針(医療分野)

お手元に紙をお届けしておりますけれども、これは何かといいますと、骨太の方針という文書なのであります。骨太の方針というのが毎年1回だいたいこの6、7月に発表されて、これに基づいて予算の概算請求がされていく。最近では小泉政権になってからでありますけれども、例の経済財政諮問会議というところでこの骨太の方針を打ち出す。それを土台にして予算を決めていく。こういう非常に重要な文書であります。その1枚目の下の方に医療というところがありまして、そこに下線を引っ張った(本文最下部、参考文書①を参照)、地域医療を担う関係者の協力を得つつ生活習慣病対策、長期入院の是正と実行性のある医療費適正化方策を国、都道府県及び保険者が共同して計画的に推進する。最初この下線のところは入っていなかったわけであります。

そしてこの下線が何を意味するかというと、地域医療を担う関係者の協力というのはまさに医師会の先生方のことを指しているわけでありまして、先生方のご意見というものも十分に汲み取りながらこの医療改革を進めて行く、この一文を入れるために武見先生や西島先生がどんなにそんなに大きな声を上げて、私もお二人に続いて、まだ知識は豊富ではありませんが、声は大きくこの一文をぜひ入れていただきたいと。これが入ることによってこれからの予算措置、あるいは法案が通って法律になって細部については政令や省令に委ねられますから、その部分の規制というものをしっかりして欲しい。

次のページにも下線を引っ張ったところ(本文最下部、参考文書②を参照)は患者特性に応じた包括化、定額払いの拡大等新たな診療報酬体系云々と書いてありますけれども、この患者特性に応じたというのはどういう意味ですかと武見、西島両先生に伺いましたら、これは後期高齢者のことを指すのだということを厚生労働省と合意の上で一文差し込んだと。全ての領域で大鉈を振るうのではなくて、少しでもその範囲というものを特定していきたいという思いがこもったわずか、10字あまりの一文でありますけれども、これをまた自民党で侃々諤々の議論の結果盛り込んだと。こうした今日は持ってきませんでしたけれども、法律にも21項目のいわゆる付帯決議というものがつけられております。しかしそれにしてもあの法案というのは通ってしまった。あるいは阻止することは出来なかった。この辺りは本当に内心忸怩という思い、これは両先生も私も同じことであります。

6.介護療養型病院について

介護療養型病院といいますか、医療施設の削減、あるいは廃止といったことも唐突な形で今回出てきたわけでありまして、これはもう専門の武見先生、西島先生もびっくりしたと。これに対して何とか6年かけて徐々に段階的に削減をしていくというような表現にし、また介護難民とか医療難民といわれる方々が出ないように万全の対策を取ると、そういう条件をつけたわけであります。

7.診療報酬の引き下げ

診療報酬の引き下げと、これは医療の質というものを保つ上で非常に厳しいことではないかと、また個々に先生方からお叱りといいますか、本当に医療に専念する熱意が薄れてきたという、そういうふうな厳しいお声さえいただいているわけであります。これも私は専門的にはよく分かりませんけれども、薬価が材料費というものを除いた本体の部分が今回-1.36なのでしょうか、これはもともと厚労省も財務省も1.0ということを念頭に置いて協議をしていたという話なのでありますが、いつの間にか1.36というところに行ってしまった。総理がやはり1.4に近い数字というものを求めたということであります。

講演終了後、質疑応答に入り、以下の先生方から質問がありました。

越野慶隆先生

時代の流れが押して、看護婦の教育の高度化という点を捉えまして、どこの専門学校もどんどん大学化を目指します。そして県立看護学校のいいところは、定時制と准看コースというショートピリオドで資格を取れるというコースがあるということです。しかし公的機関がそのようなところに対する応援が比較的熱がどんどん冷めております。我々が地域を支えるべき、あるいは周辺の過疎地域を支えるべき、それに応じたナースの輩出としても、また再チャレンジという点を考えても、このような定時制とか准看コースはぜひ守るべきだと思っております。

看護婦さんが高学歴化します。そして優秀な人材がたくさんになる。そして大きな病院に勤めると子供を産まなくなるのです。これは日本の国家としてはものすごい損失で、あるいは適切なところで、一旦子育てで帰ってきたものが再度ライセンスを生かせるような教育機関とか、そういうようなものに質を変えていくべき時代になったのではないかと思います。

岡田代議士

実は看護協会の方からそういうご要望がありまして、私は石川県の方にも少し働きかけて私一人だけではなくて、何人もの議員が例えば馳  浩さんですとか、そういうどちらかというと若手の方が皆で県庁に行きまして、そうしましたらもうこれから民間でやるということを検討していると。これをバックアップしていきたいとこんなお話しがございました。それで本当にその看護師の方々がびっくりするほど喜んでくださって、これはいいことをしたのかなと、手柄話ではありませんけれども、そういう実感を持ちましたし、そういういろいろなコースでその看護師さんに合った教育を、あるいは先生方が必要とされるニーズに応じたバラエティに飛んだ教育というものが行われるように、これは国の問題でもあり、また都道府県や市町村の問題でもあると思います。しっかりと取り組んでいきたいと思います。

再チャレンジというお話しが出ました。例の北朝鮮に拉致をされた曽我ひとみさんももとは看護婦さんであったわけでありますけれども、長年拉致をされていた。そして今佐渡の方に戻って、さすがに看護の現場に戻るということはちょっと難しいけれども、町の健康相談の仕事をしておられると、そういう話も聞いたことがあります。再チャレンジというのがこの骨太の方針にも下の方に書いてありますけれども、やはりどんな分野でも運が悪くて、自分は一生懸命努力したにもかかわらず成功できない、失敗をしたと。例えば会社を潰してしまったと、そういう方でも熱意があり努力をして、そして技術があればもう一度挑戦できる、チャレンジできるそういう社会を作ろうではないかと、この考え方を今政府の方でも進めております。看護師さんの問題については、本当に先生方からもっともっと教えをいただいて、各方面に働きかけていきたいと思いますので、どうか宜しくお願いを申し上げます。ありがとうございました。

参考文書①

医療制度改革の着実な実施に努め、小児科・産科等の診療科や地域における医師の確保・偏在への対応、夜間・救急医療体制の整備、看護職員の確保やその養成の在り方の検討等医療提供体制の整備を進める。また、地域医療を担う関係者の協力を得つつ、生活習慣病対策、長期入院の是正等、実効性のある医療費適正化方策を国、都道府県及び保険者が共同して計画的に推進する。

参考文書②

医療サービスの標準化、レセプト完全オンライン化等総合的なIT化の推進、患者特性に応じた包括化・定額払いの拡大等新たな診療報酬体系の開発、保険者機能の強化、終末期医療の在り方の検討など、医療サービスの質の向上と効率化を推進する。

平成18年6月23日(金)

谷本 正憲 氏

日 時  平成18年6月23日(金) 午後7時から

場 所  金沢市健康プラザ 大手町東館 4階大研修室

演 題  「医政懇話会」

講演要旨

谷本知事医政懇話会講演

 石川県として多くの課題抱えているが、最近は、医師の皆さん方と大きな係わり合いのある課題がどんどん出てきている。

 一つは、少子化という問題です。石川県は、戦後一貫して人口が増え続けておりましたが、昨年の10月の国政調査で、数千人ですが人口減少の仲間入りをした。人口減少がどういう影響をもたらすのかということについては、いろいろなご指摘がある。一番厳しいご指摘は、人口が減り始めると地域の活力が減退していくのだと。そのためには、何としても人口減少に歯止めをかけてもらわなければいけないというご意見もある。そうであるとするならば行政として、少子化に歯止めをかけるため県としてやるべき対策に最善を尽くしていく必要がある。まず、少子化の原因をしっかり分析をしておかなければいけないということで、一昨年若い方々を対象にアンケート調査を実施した。

 その中から浮かび上がってきましたのは、

1.子育てと仕事の両立ができなくなるのではないかという不安です。

2.子育ての密室化による精神的不安です。

3.経済的な負担からくる子供をたくさん産めないという不安です。

4.子供さんの産前産後を含めての医療面での不安です。

これはすべて県だけで解決できるということではない。経済的な負担の軽減ということになると国も相応の負担を。子育てと仕事の両立ということになると、企業の理解と協力をなど、いろいろな立場の方が、その立場を乗り越えて少子化対策に一丸となって協力をしてもらわなければいけないということである。その中でも行政は、率先してやっていく必要がある。

 その一つがプレミアムパスポート制度です。企業の皆さん方に次の世代の人材を育てるのだという、意味合いも込めて積極的に参加をしてもらう。3人以上の子供さんをお持ちの世帯にパスポートを発行し、そのパスポートをいろいろなお店で提示をしていただくと、割引サービスが受けられる。貢献していただいている企業については、積極的に表彰や顕彰おして、企業の社会的な評価を高めて差し上げる。参加していただいている企業が約1,200店舗、それから3人以上の子供さんをお持ちの世帯17,000世帯のうち、パスポートを取得していただいている世帯が12,000世帯である。

 二つ目は子育てに悩んでおられる専業主婦への対策としてマイ保育園登録制度がある。保育所の保育士を子育て支援のコーディネーターとし、子育て支援プランを作成する。そして子育てに対する精神的な不安を解消してさしあげる取り組みを始めた。

 経済的な負担ということについては、これは児童手当ということになる。児童手当にかかる予算は、もうすでに七十数億円お支払いしている。これを増やすべきだということになれば国がリーダーシップを取っていただいて児童手当をもっと充実する。

 四つ目は、医療の面での不安の解消。このことについては県立中央病院で総合母子医療センターを立ち上げた。採算という面からいうと不採算。やはり県が取り組むのに相応しい事業ではないのかなということで立ち上げた。この6月補正予算で議会にもお願いしている、子供さんの救急医療相談を平日の夜間にも拡げていこうということで、予算をお願いいたしている。特に小児科の先生方にもぜひご協力をいただきたいと思っている。

医師不足という問題、石川県全体では医師は足りているが、能登、奥能登では医師不足が顕在化している。これを我々としては何とか解消していかなければいけない。そのために人材サポートセンターというのを急遽立ち上げ、能登地域で自分の体の許す限りにおいて医療サービスできる先生を今募集している。加えて小児科と産科のお医者さんも不足をしてきている。そこで、今までの奨学資金は600,000円、これを今議会の方でお願いし2,400,000円に引き上げ、2年間、小児科、産科の医師が不足しているところで勤務をすれば、奨学資金を一切返済していただかなくてよい制度です。

健康フロンティア戦略と名を打って、健康でいられる期間をどう長くしていくのか、こんな取り組みを今始めたところである。生活習慣病対策に適切な手当を施すということが、健康寿命を延ばす一番の最有力の手段。そこに光をあてていく取り組みを今から始めようとしている。

少子化という問題、医師不足の問題、健康寿命をどう伸ばしていくか、そんな取り組みをすすめていかなければいけないということであり、今までと違った形で、石川県内の医師の皆さん方と大きな係わり合いを持ちながら、お互いに建設的な前向きの議論を交わしたいということです。

市の医師会ということになりますと、県の医師会を飛び越えて知事も膝詰めでお話し合いをすることは、難しいわけですが、お互いに問題意識を共有できれば、それにこしたことはないと思っている。今日は医政懇話会ということで、こういう機会をおつくりいただいたというのもこれも何かのご縁、これからもお互いに問題意識を高いレベルで共有しながら、しっかりと情報交換をし、県民の皆さん方にどう質の高い医療サービスを提供していけばいいのか、そんなことについてお互い建設的な、前向きな議論をさせていただければと思いを申し上げさせていただきました。

講演終了後、質疑応答に入り、以下の先生方から質問がありました。

越野慶隆先生

1.現在一番困っていることは看護師の数です。やはり私達は有効なナースの供給源として県立総合看護学校がより活性化されることを期待しております。その運営方針に、我々の地域の医師会にとって有用な人材を出す、そのために我々と協力してもらうという姿勢を少し持って欲しいと思います。

2.看護師という職業は24時間就業です。子供を持っている看護師が働きやすい保育所等の設営もよろしくお願いします。

谷本知事

1.不足しているということであれば、その供給体制は整えていかなければいけない。看護師さんでも、第一線から離れているという潜在的な方も結構おられるというふうに思う。そういった方々の掘り起こしもしっかりやっていかなければならない
。と同時に新卒の看護師さんの供給もやっていかなければならない。一方で看護の質を高めることもニーズとしてあるので、看護の質を高めながら必要な看護人材をどう供給していくのか、前向きで建設的な議論をしていくということが大事である。

清水巍先生

1.小児の医療費助成の問題です。石川県の場合、3歳までが対象ですが他県では、だいたい半分以上が就学前、未就学前、いわゆる6歳未満です。それから償還払いから現物給付に改めていただけないかと。現物給付性にしていただくとお母さん方の負担がすくなくなって子どもを産みやすい、育てやすいという点もございます。また1,000円のあしきりという問題もございます。

谷本知事

乳幼児の医療費助成については一つのルールを作ったつもりです。これは今の状況の中で県の方は助成を充実していけばいくほど市町村の財政負担が軽減される。これは市町村が先行しておやりになっているからです。議会の方でもこの乳幼児の医療費の充実についてはもう質問があり思い切ってこれは引き上げました。また1,000円というのが大きな負担なのかどうなのかというのは、なかなか難しいところ、1,000円ぐらいのご負担はあってもいいのではないかと思う。

それから償還払いにはいろいろ議論がありますが、市町村の方からしてみますと、現物給付をやると国保で国の補助金が削減されるペナルティをかけられるので、これはやはり償還払いという形でやらざるを得ない。国は方針をがんとして変えないということであり、償還払いは、やむを得ないのではないかなと。そこはぜひご理解いただきたいと思う。

松本吉典先生

1.診療報酬改定で、療養病床を減らすという線を強く打ち出したが、それに対して県独自として何か対策をお考えになっているのか。

2.旧県庁舎の取り扱いについて考えをお聞かせ下さい。

谷本知事

1.おっしゃるように本当に在宅介護の受け皿がそれほど整っているのかどうかということになれば、まだこれは正直にいってクエスチョンマークの部分はあるのだろうというふうに思います。施設介護から在宅介護への流れはそうであるのかもしれないが、そこへ至るスピードというのか、そのことにどれほどの配慮を加えるべきなのかなどについて、国は実態をどのように把握しておられるのか、聞いて見たいという気持ちでございます。

2.県庁の本館は、大正13年に建てられた建物。大正時代にまさに鉄筋コンクリートの建物は石川県では始めての建物です。大変な歴史性があるというふうに私自身は思っていますので、ぜひ残さなければいけないと思っている。いろんな方からいろいろなご意見が出てまいりましが、とにもかくにも南ブロックの正面の部分、あそこは残すということで何とか大方のご理解を得られた。